放射線の影響についてと1年後の症状2005年8月1日先週外来にいって、白内障気味とか言われたので、もしかして放射線の後遺症かもと思ってきになっていた。首の椎間板が神経を圧迫してしびれるのも、また精子が見えないのもみんな放射線のせいにしようと思って調べてみた。 結論は、影響だろうけど永久ではないってこと、しかし回復については個人差もあり確実なことは言えず、そのまま放置ってことらしい。 ◎具体的な現在の症状 目の乾き ⇒ 目薬・サングラス必要・白内障気味 唾液の減少 ⇒ かわくけど少し出るようになった。 のどの不具合 ⇒ 痰が出しにくい声は良くなった。 腕のしびれ ⇒ 3ヶ月前より軽くなった。 生殖線 ⇒ まったく気配なし 慣れてしまったのでストレスないけど、調べた事とよくあてはまる。放射線とは何かについてはまた今度あらためて。 【1年前の日記】2004年8月2日 今日は13回目の放射線の治療でした。ステロイドの吸入を忘れて帰ってしまって、病院に戻るのが面倒くさくてやめてしまった。その為、のどの粘膜が悪くならないか気になっていました。のどの調子はもともと悪いので、ひどくなる事はなく不快なままです。 7月30日の日記は焼肉を食べた事を書きましたが、付け足しで言うと、ノンアルコールビールが甘く感じていました。本物ではないから甘い味なのかと思いましたが、麦茶を飲んでも甘く感じたので味覚障害だなと思いました。しかし唐辛子やわさびなどの刺激物は神経に突き刺さるほど辛いので、全てが甘いというわけではありません。 現在の副作用は、放射線によるものと移植によるものの2種類あると自分で感じます。日常生活において不快な順に、出現とその程度を記します。 放射線による副作用 1)唾液の減少‐‐‐話している時口の乾き,食事の時水分がないと飲み込めない 2)のどの粘膜炎‐‐‐痰を吐き出す時痛い 3)口内炎‐‐‐歯ブラシ中歯肉が痛い GVHDと思われる副作用 1)ドライアイ‐‐‐強い光線、長時間の作業 2)便秘‐‐‐自力で出ない 3)腎・肝機能の低下‐‐‐頻尿,皮膚の黒ずみ その他 入院の後遺症 1)貧血‐‐‐急激に増えてこない 2)筋力の低下‐‐‐階段上る時足痛む 【放射線の取り扱いと安全性の考え方】 γ線,X線や陽子線によるがんの治療方法は、細胞の殺傷能力の高さを利用したものである。放射線は、人体にも大きな効果をもつため、放射性物質の量を表す単位のほかに、放射線の効果を表す単位が用いられる。 ◎単位 Bq(ベクレル)dps 放射線量:放射線源の強さを表す。1Bqは1dps(壊変原子数/秒) Gy (グレイ) J/kg 吸収線量:物質に吸収されたエネルギー量を表す。1Gyは1J/kg Sv (シーベルト)J/kg 線量当量:生物学的効果(吸収線量×線質係数×修正係数)GyはSvに等しいとし、ともに放射線の効果をあらわす。 放射能の前者は吸収線量で、物質に吸収されたエネルギー量を表し、後者は線量当量で、生物学的効果(吸収線量×線質係数×修正係数)を示している。生物効果の大きなα線の線質係数は20であるが、X線、β線、γ線の場合は1であり、現在のところ修正係数は1.0とみなすことにしているので、GyはSvに等しいとしてよい。放射性物質を扱う実験は、きちんと管理された区域内で実施する事が義務づけられ、しかも扱う放射線源量の制約と被ばく量などに厳しい規定が設けられている。 【放射能の影響】 放射線の人体への影響をみてみよう。吸収する線量がある値(しきい値)以上いなると、放射線障害が増加する。分裂の盛んな白血球やリンパ球、生殖器官は放射線に敏感である。胎児の場合も、低いしきい値で影響が表れる。 ◎個体の機能と生存への影響(症状としきい値Gy) 白血球現象…0.25 悪心・嘔吐…1 白内障…2 脱毛…3 骨髄死…3 腸死…10 ◎生殖能力への影響 一時不妊(男性)…0.1 一時不妊(女性)…0.5 永久不妊(男性)…10 永久不妊(女性)…6 【放射線障害防止法】 放射線業務従事者の安全をはかるために線量限度が決められているが、これには放射線の影響のしきい値のほか放射線の影響も配慮されている。生殖器官への影響および胎児のいる可能性を考慮して、妊娠可能な女性の腹部に対する線量限度が低い事がわかるだろう。放射線の影響を受けやすい胎児をまもるために、妊娠中の女性に対してはさらに厳しい基準が定められている。この等価線量とは一度あるいは数度の放射線の吸収された線量の蓄積量で、実効線量は発がんや遺伝への影響に関して定められた線量である。後者の線量限度は、きわめて低い値となっており、しかも一時的な吸収線量ではなく、一定期間中に吸収された線量の蓄積量で規制されている。 ◎放射線障害防止法の線量限度 実効線量限度…実効線量:100mSv/5年 組織の線量限度…等価線量:目の水晶体150mSv/年 (女子の腹部を除く) 皮膚 500mSv/年 女性の線量限度…5mSv/3ヶ月 (妊娠中の女子をのぞく) 管理区域設定基準…実効線量:1.3mSv/3ヶ月 空中濃度:3ヶ月間の平均濃度が空気中濃度限界限度の1/10 【放射線障害】 発がんと遺伝の影響を個人の器官の障害と比較してみた。 細胞や組織の死は、しきい値以上の放射線の吸収により、その危険性は著しく増加する。通常の体細胞よりも、分裂の盛んな細胞は障害を受けやすく、生殖器官や胎児はさらに放射線に敏感である。この場合、1度あるいは数度の吸収線量が問題で、数日のオーダーで障害が現れる。このような影響を確定的影響という。それに対し、体細胞のDNAに対する障害である発がんや生殖細胞のDNAの障害である遺伝子はどうであろうか。このようなDNAの障害は、紫外線や喫煙が発がんの危険性を増加させるように、放射線を吸収しなくても起こる。したがって、これらの障害に対するしきい値はなく、安全な線量はないと考えられ、低線量でもある程度の確率で発がんや遺伝的影響が配慮される。このような影響を確率的影響といい、少しくらいなら大丈夫と考えないで、この確率を極力抑えるように努力する事が大切である。上記の生殖器官へのしきい値は生殖能力への影響であることに注意してほしい。すなわち、生殖能力への影響は確定的影響であるが、遺伝への影響は確率的影響なのである。かなりのときを経てから障害が現れ、長く続く影響が懸念される。 ◎放射線障害とその時間 細胞,組織障害(確定的影響) 細胞の機能分子 数日~数ヶ月 発がん(確率的影響) 体細胞のDNA 数年~数10年 遺伝 (確率的影響) 生殖細胞のDNA 数10年~数100年 出典 新井孝夫(2003)生命から学ぶ化学の基礎 10章 東京化学同人 |